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災害二都物語:コミュニティー同士の学び合いと絆が深まった例

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Community members from Nepal learn how to make paper jewelry crafts from Ibasho-Japan elders.
居場所ハウスで紙細工のアクセサリー作りを学ぶネパール使節団 (撮影者:Margaret Arnold 、世界銀行)
カトマンズで高齢者のソーシャル・ベンチャー事業「ビハニ」を運営していたサントシ・ラナさんは、2015年4月のネパール地震の後、多くの若者が救援・復興活動に参加していることに気づきました。「高齢者は、完全に蚊帳の外におかれ、ケアを必要とする受け身な存在として扱われていたのです。」ラナさんは、インターネットで参考になる情報を探すなかで、防災グローバル・ファシリティ(GFDRR)の報告書「地域の高齢者の力を (Elders Leading the Way to Resilience)」に出会いました。報告書では、2011年の東日本大震災の後、高齢者が中心となった岩手県大船渡市の復興活動「居場所ハウス」が果たしている役割が検証されています。

コミュニティーの強靭化に向けた日本の取り組み事例

大船渡市では、地域の高齢者が居場所ハウスを構想し、設立しました。居場所ハウスは、東日本大震災で大きな被害を受けたコミュニティーのつながりを復活させる、中心的な場として機能しています。コミュニティーの人々が形式ばらずに集える場であり、子どもは図書コーナーに英語の本を読みに来たり、高齢者は若者向けに郷土料理の講習会を開いたり、若者は高齢者にパソコンの使い方を教えたりと、多世代の利用者がつながりを持つ場となっています。居場所ハウスは、運営にも高齢者が積極的に関わることで、ソーシャル・キャピタル(人と人とのつながり)や強靱性の構築にも役立っています。また、高齢者の活発な活躍ぶりは、人々の高齢者に対する意識を変えることにもなりました。居場所ハウスは持続可能なビジネスモデルを採用しており、活動資金を捻出するため、食堂の経営、無農薬栽培の農園、朝市の開催などに取り組んでいます。

2014年から2015年にかけて、GFDRRは日本におけるIbashoの取り組みを記録する活動に、支援を行いました。サントシさんはその記録を目にしたことで、自分のコミュニティーでも高齢者や女性がリーダーシップを発揮することができると気づき、大船渡市で居場所ハウスの設立・運営プロセスを支援していた非営利団体、「Ibasho」の清田英巳代表に働きかけました。

コミュニティーレベルと政府レベルで、ネパールの人々と経験を分かち合う

Ibashoは、GFDRRの日本-世界銀行防災共同プログラムの支援を得て、ネパールのマタティルタという村で、震災復興活動の一環として、高齢者や女性、障がい者とともに、Ibashoネパールを立ち上げる活動をしています。
  
2016年10月には、同じ立場にいる者(ピア)同士の交流、つまり大船渡市のお年寄りから学ぶことを目的として、マタティルタ村から日本に訪問団が訪れました。訪問団には、コミュニティーの代表として選ばれた5名と、ネパール政府から4名が参加していました。なおネパール政府は、震災で被害を受けたコミュニティーが、社会的・心理的に回復するための支援プロジェクトを立ち上げています。

大船渡市には4日間滞在し、仮設住宅や復興公営住宅、漁業組合を訪れ、東日本大震災からの復興プロセスを見学しました。また一番のハイライトとして、居場所ハウス訪問に多くの時間を割きました。メンバーと交流を深めつつ、カフェの設立や運営方法を学び、カフェが支援している事業活動を見学し、コミュニティーの強靱化や社会的・心理的回復にカフェが果たしている役割を確認しました。

大船渡のお年寄りは、無農薬栽培の方法や、Ibashoネパールで販売するペーパークラフトの作り方などを指導しました。マタティルタの人々からは、ネパールで立ち上げ中の活動が紹介され、大船渡のお年寄りやネパール政府の担当者から、意見をもらいました。大船渡、マタティルタ村、どちらのお年寄りも、震災によって自分やコミュニティーがどのような影響を受けたか、いかに喪失体験を乗り越えてコミュニティーの強靱化に取り組んでいるかについて、個人個人の体験を分かち合いました。そして大いに笑い、歌い、美味しい食事に舌鼓を打ちました。


コミュニティーリーダーと世界銀行が学んだこと

コミュニティーリーダーのパンチャ・クマール・スレスタさんは、訪問を振り返って「震災を乗り越えられると確信を得ました。なぜならば、それを実現している人たちを、この目で見ましたから」と述べました。実践的なスキルを学んだこともさることながら、訪問団のコミュニティーリーダーたちは、協力し合うことで大きな成果を達成できることを学んだと述べ、「高齢者であっても、障がい者であっても、誰でも何らかの貢献ができるのです」と述べました。
居場所カフェは、GFDRRの包摂的で強靭なコミュニティー社会構築プログラムや、世界銀行東京防災ハブと手を取り合い、フィリピンをはじめとする国々のコミュニティーにも、Ibashoの取り組みを伝えることを目指しています。
 
世界銀行にいると、「ピア同士の学び」という言葉からは、政府機関の担当者が他国のカウンターパートから学ぶことを想像しがちです。けれども今回の訪問を通じ、似た経験をしたコミュニティー同士がつながることの大切さに気づかされました。ネパールのお年寄りは、自分たちの体験を完全に分かってくれ、自分たちの可能性を理解してくれる人とつながることで、多くの気づきと勇気をもらい、大船渡を後にしました。大船渡のお年寄りとの深い絆を得たことで、Ibashoネパールが具体化するにつれ、マタティルタのお年寄りは大船渡の友人から学んだこと、ヒントを得たことを活かしていくことでしょう。

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