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日本からブータンへ: 文化遺産の強靭性向上を目指して

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 Barbara Minguez Garcia 2018
ブータンのワンデュ・ポダン・ゾン。2012年に火災で焼失。(Photo: Barbara Minguez Garcia 2018)

日本の京都とブータンのティンプーは3つの国と海に隔たれ、約4,500キロメートル離れた位置にあります。言葉も歴史も異なりますが、歴史的建造物に関しては火災という共通の敵が存在します。
ブータンが火災を防ぐための対策を講じるにあたり、 日本の経験は大変参考になります。
ブータンの代表団は昨年東京と京都を訪れ、リスクへの備えと軽減に関するベストプラクティスを学び、ブータンで応用することを目的に文化遺産の強靭性とツーリズム実務者研修に参加しました。

ブータンの人々は文字通り偉大な遺産に囲まれて暮らしているため、防災に関する知識は極めて重要です。
ラカン(寺院)やゾン(要塞)などブータン特有の建築だけでなく、ナンテン(絵画、塑像、彫刻などの屋内文化遺産)も、日常生活に欠かせないものですが、火災に対して特に脆弱です。1998年には、虎の巣(タイガーズ ネスト)と呼ばれる7世紀のタクツァン僧院が全焼しました。最近では、2012年に象徴的な16世紀のワンデュ・ポダン・ゾンが焼失しています。
しかし、 火災はブータンの文化遺産を脅かす災害の一つにすぎません。2009年と2011年の地震は、主にラカンとゾンに物理的損失をもたらしましたが、それぞれの地震の被害は約1350万ドルと700万ドルと推定されています。2014年と2017年には、暴風がプナカのカベサにある指定文化遺跡 チョルテン・ニンポ・ラカンの屋根を吹き飛ばしました。

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向井純子氏(コンサルタント)と内務文化省文化局のJigme Choden氏によるワンデュ・ゾンの事例に関する現地でのプレゼンテーション。(Photo: BMG)
ブータンの担当者は、昨年の訪日から更に進歩を遂げるため、知見共有プログラム、文化遺産の強靭性とツーリズムに携わる日本人専門家と国際的な専門家を招き、ブータンの遺跡の強靭性を向上させるためのワークショップを開催しました。
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京都のR-DMUCHの大窪健之教授は、遺跡区画内で適切な対策を確保するためのさまざまな消防システムについて説明。

ワークショップのハイライトとして、 京都市が木造の建築遺産を保護と維持のため、どのように防火体制を一本化したかについて議論されました。

たとえば、再建を重ねている清水寺は、建物を守る防災装置を設置しています。これには、500トンの水を貯めることができる消防用水システム、火災現場から避難した人々がアクセス可能な火力光学による火災警報システム、落雷防止システムなどがあります。

さらに、 地域社会も重要な役割を果たしています。緊急時には、訓練を受けた近所の住民や店主が寺の援護に駆けつけます。防災訓練が年に2回行われるほか、定期的に消火器の使い方の講習を実施しています。これらの貢献への返礼として、清水寺は給水システムを通じて集めた雨水を地域社会に提供しています。
こうした京都の優れた取り組みの中には、ブータンでも実施できるものがあります。
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ICORP会長ロヒト・ジグヤス教授は、繰り返し洪水、火災、暴風雨の被害を受けたベトナムの古都ホイアンの歴史的町並みについて、自治体によるマルチハザード計画策定の例を紹介。(Photos: BMG)
ワークショップの参加者は、ブータン文化遺産の強靭性を向上させるための規範の作成に着手しました。

具体的には、防災意識の低さと情報不足が重要な課題であることが明確となりました。 日本から得た貴重な教訓は、災害リスク管理と文化遺産の保全は政府機関間の協力を促進することによって、より良く統合されるということです。

そうすることが、緊急時にリスクを理解・特定し、また互いの役割を判別することに役立ち、最終的には、文化遺産保護を考慮に入れたリスク軽減、リスク管理方法を構築し、実施へとつなげることができます。

このような観点から、内務文化省文化局遺産保存課(DCHS - DoC)がブータンで開催したワークショップは、災害管理局(DDM)、王立ブータン警察(RBP)の消防本部、ゾンカク防災委員会(DDMC)、デスン(平和の保護者)、その他の機関間の協力の促進につながりました。

こうして学んだ経験を通じ、ブータンは災害からの文化遺産保護に関して、自ら国際的な標準を設けています。
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ワークショップの参加者 (Photo: Ugyen Chophel)
この取り組みは途上国における防災の主流化のための日本-世界銀行プログラムの支援を受け東京防災ハブを通じて実施されました。

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