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直接投資低迷の中、MIGAが革新的取組みを展開

1. A MIGA guarantee helped finance the construction of a new university campus for the Mohammed VI Polytechnic University (UM6P) near Morocco?s capital city of Rabat. 1. A MIGA guarantee helped finance the construction of a new university campus for the Mohammed VI Polytechnic University (UM6P) near Morocco’s capital city of Rabat.

途上国への投資が低迷する中、MIGAは革新的取組みを展開しています。  

国連貿易開発会議(UNCTAD)の最新のデータによると、対内直接投資(FDI)のフローは、世界全体で 2022年第2四半期に3分の1近く落ち込み、いくつかの新興地域へのフローが大きく減少し、アフリカへのフローに至ってはほぼゼロでした。2023年のFDIの見通しはひいき目に見ても暗いと言わざるを得ません。

新興国にとって資本形成と知識移転にはFDIが不可欠だとされているものの、こうした国々へのFDIフローはこの10年間、相対的に伸びておらず、全体的な経済成長のペースに追いついていないのが実情です。

新プロダクト

この状況を打ち破るため、途上国への投資促進を使命とする多数国間投資保証機関(MIGA)は、各種のプロダクトを拡充させてきました。MIGAは1988年に設立され、当初は、政治リスク保証を活用したFDI促進を専門としていました。 

2009年以降、MIGAは、FDI促進に向けたそれまでのプロダクトを増強する形で、これまでとは異なる方法により新興国への投資を促す一連の保証プロダクトを打ち出します。
世界の金融機関が途上国の中央銀行に積み上げた資本準備金を、途上国政府による収用から守る資本最適化プロダクトです。このプロダクトにより、追加的な資本が捻出され、気候変動対策や中小企業、女性起業家といった重要分野向け新規融資が可能となり、途上国経済の成長が促進されます。資本最適化プロダクトへのニーズは一貫して高まっており、コロナの中にあって、新興国・途上国における信用補完と流動性確保に貢献を続けています。 

2020年6月には、MIGAは、南アフリカのファーストランド・グループの完全子会社に対し、同社がボツワナ、エスワティニ、ガーナ、レソト、モザンビーク、ナイジェリア、ザンビアに保有する準備金を対象として、最大2億3,500万ドルの保証を提供しました。これに伴い、同行は、これらの国々で貸出を拡大できるようになりました。 

政府向け融資

2010年には、さらなるイノベーションとして、民間融資に対する政府の支払い不履行に伴う損失を補填する、支払不履行保証プロダクトを発表しました。2013年には、支払い不履行保証の範囲を広げ、地方自治体関連企業や国有企業への融資も適用対象としました。

MIGAの支払不履行保証プロダクトにより可能になった最近のプロジェクトとしては、モロッコの大学キャンパスコロンビアの港ペルーのグリーン・モーゲージ・プログラムパラグアイの小規模事業・住宅セクター支援融資などが挙げられます。

MIGAによる従来からの政治的リスク保証はFDIを支えるために引き続き重要ですが、新規のプロダクト・カテゴリーは、複合危機の際に各国のニーズを支援することで近年大きく拡大しており 、今ではこの5年間におけるMIGAの年間保証の大半を占めるに至っています。

コロナと貿易

コロナ危機はMIGAに、流動性への迅速なアクセスを可能にし喫緊のニーズを満たすために既存の保証プロダクトを適応させ、革新を遂げる可能性をもたらしました。 2021~2022年、MIGAが提供した保証により、複数の国においてコロナ用医薬品と医療サービスの緊急調達と共に、コロナ危機による経済への悪影響への対応が可能になりました。

MIGAによる保証は、バハマの保健システム近代化メキシコ政府へのコロナ対応のための運転資金セルビアでのコロナからのグリーンで包摂的な回復コロナで財政難に苦しむカンボジアの小規模事業や女性経営事業のための金融アクセス改善など、5つの大陸で数多くのコロナ関連プロジェクトに貢献しました。

コロナ危機で世界のサプライチェーンに混乱が生じており、国境を越えた必需品の流通円滑化は喫緊の課題です。そのためには、貿易金融の充実が必要となりますが、そこで鍵を握るのは、国際貿易における決済リスクを減らす信用状(L/C)など、金融機関が作成する書類です。 

MIGAは2021年、低所得国・脆弱国への食料や医療機器など必需品の貿易フローを支え、コロナにより打撃を受けた世界のサプライチェーンを再生するため、新たに貿易金融保証プロダクトを発表しました。1件目は、11月に国際金融公社(IFC)と共同で提供されたルワンダのキガリ銀行への2,000万ドルのクレジットラインに対する保証で、続けてさらなる保証が予定されています。

貿易金融保証がIFCと合同で開始されたように、MIGAの保証プロダクトは、IFC・世界銀行本体との強い協力関係の下で成果を上げています。リスクが特に高い場合、信託基金や、低所得国支援を目的とする国際開発協会(IDA)の民間セクターウィンドウ(PSW)もMIGAのオペレーションを支えています。世界銀行グループが一丸となって、新興・途上国の人々の生活・生計の向上に取り組む所存です。 

現在、MIGAは、向こう3年間の戦略を策定中ですが、イノベーションが重要な役割を果たすことになるのは間違いありません。 MIGAは国境を越えてFDIを支えるという中核的使命に注力すると同時に、新しいプロダクト・新しいアプローチを用いることで、気候変動など開発やグローバルな公共財に影響を及ぼす課題への対応を進めてまいります。 


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