ブータンにとって文化遺産は極めて重要な側面を成し、ブータン開発の指針となる哲学、国民総幸福量の4つの柱の一つでもあります。
その伝統建築が持つ複雑な美しさと特異性は世界的に有名です。
このため、国のあらゆる開発政策に組み込まれています。
これに関連して、ブータン王国政府は、同国文化の有形・無形の側面を維持することを優先事項とし、内務文化省(MOHCA)文化局に専用の事務所を置き、地方自治体と密接に連携しています。
脆弱なブータンの遺跡にとってこの任務は非常に重要です。
2009年と2011年に発生した地震では、何百もの歴史的な寺院(ラカン)や要塞(ゾン)が被害を受け、そこにはルンツェ や タシガン ・ゾン(2009)、パロのタ・ゾン(2011)なども含まれています。
また、ブータンの文化史上最悪の災害は火災によって引き起こされました。
名高い パロの タクツァン 僧院(愛称「虎の巣(タイガーズネスト)」)や ワンデュ・ポダン・ゾン は、それぞれ2008年と2012年に焼失しています。
ブータンのゾン の顕著な特徴の一つにその戦略的な立地が挙げられます。
歴史的に名高い寺院は丘の頂きや川の合流地に建てられ、それにより住民は渓谷を見張り、脅威から身を守ることができます。
ゾンは丘の頂きや川の合流地に建てられ、それにより住民たちは渓谷を見張り、脅威から身を守ることができます。
しかし、この際立った特徴が、ゾンの脆弱性を高めることにもなります。
例えば、ワンデュ・ポダンのゾンで火災が起きた際には、丘の頂上という立地に阻まれ、現場を目撃した人がすぐさま現場に駆けつけ、消火に当たるということができず、その荘厳な建造物はゆっくりと燃え落ちました。
したがって、
ブータンの文化遺産の強靭性を向上させる
この課題を克服し、東京で行われた「分野別実務者研修会合:文化遺産の強靭性とツーリズム 」で得た成果を基に前進するため、内務省文化局遺産保存課(DCHS)とそのパートナー団体が昨年4月に行われたワークショップ に集結し、文化遺産に起こりうるリスク、災害対応、および災害復興を監視し、備えるためのさらなる指針を作成しました。
ワークショップではまた、ブータン経済に対する同国の文化遺産の重要性にも焦点が当てられました。
政策やプログラムについての話し合いはもちろん、大規模改修計画においても遺産の管理者としての役を担う宗教団体や僧侶に参加してもらうことが、DCHSのビジョンの中心に据えられました。
DCHSはまた、国際機関とも緊密に連携し、ベストプラクティスや技術的な知識を取り入れ、直接投資や能力開発に対する支援を求めています。
パートナーには、UNESCO、国際記念物遺跡会議(ICOMOS)、文化財保存修復研究国際センター(ICCROM)や民間の市民社会団体が挙げられます。
DCHSは、パートナー団体と共に、重要遺産の目録や文書の作成から、直接参加する改修作業、伝統的建造物の特性に対する理解を向上させる研究活動、そしてこうした建造物の強靭性を高めることを目的とした職人や役人の継続した能力開発までと、あらゆるレベルで取り組みを行っています。
こうしたイニシアチブは全て、ブータンの一部を成す独特の文化遺産の保護を目的としています。
関連ブログ:
日本からブータンへ: 文化遺産の強靭性向上を目指して
ブータン王国による文化遺産の保存と保護へ向けての取り組みは、世界銀行および 防災グローバル・ファシリティ(GFDRR) 、日本-世界銀行防災共同プログラム の支援を受けています。
コメントを投稿する