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新型コロナウイルス感染症への断固たる対応と回復への道のり

???Paul Salazar/???? 撮影:Paul Salazar/世界銀行

新型コロナウイルス感染症の世界的流行は、7月中旬までに世界で約1,500万人の感染者と60万人以上の死者が確認されるなど、大きな打撃をもたらしている。 

集団感染は次々と場所を変えて発生しており、ラテンアメリカや南アジアを含む途上国で新たな感染が集中する場所が出現しているだけでなく、アフリカの一部でも懸念されている。 さらに、第二波の発生は、これまで感染の抑制に進展が見られた地域にも見られている。

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新型コロナウイルス感染症 日別感染者数(単位:千件)。出典:ジョンズ・ホプキンス大学、世界銀行

今回の危機による経済的・社会的影響は、全世界に広がっており、大きな不確実性の中、これまでと全く異なる世界が長期にわたって続くことになると予想される。   今回の感染拡大により、何百万人もが極度の貧困に陥ると考えられ、既に貧しかった人々はさらに深刻な貧困な状態となるだろう。世界中で10億を超える雇用が脅かされており、インフォーマル・セクターに属する多くの労働者や脆弱層のために、より手厚いセーフティネットを提供する必要性が高まっている。途上国は、公衆衛生上の緊急事態を食い止めるため、経済的・社会的影響を抑制する方法を模索すると同時に、開発課題への取組みを軌道に戻すため緊急に対応する必要がある。

世界銀行グループは、すべての面において、できる限りの支援を提供できるよう力を尽くしている。そして今回の新型コロナウイルス感染症危機に関しては、特に例外的な対応が必要であると考えており、既に100を超える低・中所得国と協力し、保健システムの強化と大規模なパンデミック対応の促進、回復への基盤構築を進めている。

公衆衛生上の緊急事態を緩和し、今回の危機による経済的・社会的影響に対応するため、2020年4月から2021年6月の間に最大1,600億ドルの資金を提供する予定である。

この取組みは、世銀グループで資金提供を行うすべての機関で行われる。資金の約3分の2は公共セクターを支援する国際復興開発銀行(IBRD)および国際開発協会(IDA)から、残りは民間セクターを支援する国際金融公社(IFC)および多数国間投資保証機関(MIGA)によるものである。

最近のブログで述べたように、世界銀行グループは、今回の危機によって脅かされている人々の命を救うこと、貧困層と脆弱層を保護すること、雇用と事業の維持を支援すること、そしてより強靭な形での回復を図ること、の4つの優先分野を掲げ、広範で迅速な措置を講じている。これらの優先分野は、新型コロナウイルス感染症危機への支援アプローチ をまとめた「命を救い、効果を高め、回復させる(仮題)」の中で取り上げられているので、お読みいただくことをお勧めするが、ここにいくつかの重要なポイントをご紹介する。

今回の危機により、世界銀行はその支援において、前例のないスピード、規模、対象の絞り込みを求められている。 危機対応において我々が目指すのは、感染拡大の影響を受けた支援対象国に暮らす少なくとも10億人を支援し、極度の貧困の撲滅と繁栄の共有という二大目標達成に向けた機運を取り戻すことである。

我々は今回の危機への対応を、「救援」「再構築」「強靭な回復」の3段階に分けて進めている。  「救援」には、新型コロナウイルス感染症によって引き起こされる保健面への緊急対応と、社会的、経済的、および財政的影響に対する緊急対応の両方が含まれる。そして「再構築」の段階では、各国がパンデミックを抑制し、経済を再開するに当たり、将来の危機に備えた保健システム強化に焦点を当て、教育、雇用、保健医療へのアクセスを通じて人々の生活と生計を取り戻し、企業や金融機関が強固な基盤を再建できるよう支援する。

「強靭な回復」の段階では、今回の危機によって変容した世界において、各国がより持続可能かつ包括的で強靭性を備えた未来を構築できるよう支援する。  

これは、「より良い復興」という概念に置き換えることができる。すなわち、短期的なニーズを満たしつつ、より長期的な開発課題への視点も維持する形で支援を行う。

今回の危機への取組みにおいて、国際協力は新たなレベルの重要性を帯びることになる。この驚異的なまでの莫大な資金需要には、緊密な協力なくして対応は不可能である。我々は、官民両セクターと緊密に協力し、特に民間セクターの回復および雇用の維持・創出を促進する必要がある。世界銀行グループはその比較優位を生かし、クライアント国およびパートナー(公共セクター、民間セクター、国際レベルからコミュニティ・レベルにいたる様々な組織)と協力して、今回の新型コロナウイルス感染症の世界的流行への対応を加速させ、危機を機会に変える革新的なアプローチを展開していく。  

忍耐力と強固な支援があれば、予想よりも早く「強靭な回復」の段階に到達できる国もあるはずだ。そのためには我々全員が、途上国がどのように「より良い復興」を達成できるかについて考え始めることが重要だ。感染拡大を許すのではなく、一気に回復へと向かうためには、大規模でグローバルな連帯が不可欠となる。長い道のりではあるが、必ず到達できるものと確信している。


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