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5つの図表で読み解く世界経済の見通し

????????????2022?1? 世界银行《全球经济展望》2022年1月

世界経済の成長率は2021年に推定5.5%まで回復したが、2022年は、新型コロナウイルスの新たな変異株の感染の急速な拡大が続き、財政面の支援が縮小し、サプライチェーンの問題が長期化していることを反映して4.1%へと大きく減速するとみられる。

先進国ではGDPと投資が来年にはパンデミック前のトレンドまで回復すると見込まれるが、新興国及び途上国(EMDEs)では、低迷するワクチン接種率、財政緊縮政策と金融引締め政策、コロナ危機による打撃長期化のために、低迷を続けるとみられる。

今回の見通しには、オミクロン株による経済の混乱、サプライチェーンの問題の悪化、インフレ期待という「アンカー」の揺らぎ、財政的圧迫、気候関連の災害、長期的な成長要因の弱体化など、様々な下方リスクが影を落としている。EMDEsでは必要に応じて追加的支援を提供するための政策の発動余地が限られているため、こうした下方リスクによりハードランディングの可能性が高い。 

そこで重要なのが、迅速で公平なワクチン配布の促進、保健・経済政策の調整、最貧国における債務の持続可能性の強化、膨らむ気候変動対策コストへの対応に向けた世界的な協力態勢の強化である。

 

1. 世界経済の成長は2022年と2023年に鈍化の見通し

 

主要国による世界的成長への寄与度

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出所:世界銀行
注:背景がグレーの2つのバーは予測値。数値は、2021~23年の世界の成長見通しへの寄与度を示し、1つ目のバーは2015~19年の成長への平均的寄与度を示す。

当初の消費と投資の好転が消失し、マクロ経済支援が解除される中、世界経済は大幅な減速局面に入っている。今回の見通し期間における世界経済減速の大半は主要国によるもので、それに伴い、EMDEsで外需の下押しが予測される。   

   

2. EMDEsは先進国に比べ小幅な回復になる見通し   

 

コロナ前の経済成長率との開き

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出所:世界銀行
注:EMDEs = 新興国・途上国。2010~19年の物価と市場為替レートでの米ドル建て実質GDP加重平均を用いて算出。背景がグレーの部分は予測値。2021年のデータは予測値。数値は、最新の試算と「世界経済見通し2022年1月版(世界銀行2020a)」に記された予測値の開きを%で示す。2023年については、2022年の成長予測を用いて2020年1月のベースラインを延長。

先進国とは対照的に、EMDEsの大半はコロナ危機によりGDPが深刻な打撃をこうむるものと予想され、2022~23年の見通し期間において投資やGDPがコロナ前の水準に戻るほど望ましい成長軌道に乗ることはないとみられる。

 

3. 2021年の予想外の好転を経て、今年の世界的なインフレは高水準にとどまる見通し

 

インフレ中央値コンセンサス予報

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出所:Consensus Economics; 世界銀行
注:数値は、32の先進国と50のEMDEsを対象に2021年12月と2021年5月に実施された調査にもとづく2021~22年の消費者物価指数(CPI)中央値のコンセンサス予想を示す。背景がグレーの部分は予測値。

世界規模での経済活動の好転に、サプライチェーンの混乱と食料・エネルギー価格高騰が加わり、多くの国で消費者物価指数が押し上げられている。インフレ目標を設定しているEMDEsの半数以上が、2021年にインフレ目標を上回った結果、中央銀行が政策金利の引き上げに踏み切っている。コンセンサス予報は、世界的なインフレ中央値が2022年も高水準にとどまるとしている。

 

4. オミクロン変異株の急激な同時拡大による深刻な経済の混乱が短期的成長にとって主たる下方リスク

 

オミクロン株の影響を受ける2022年の世界経済成長率

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出所:Oxford Economics; 世界銀行
注: AEs = 先進国;EMDEs = 新興国・途上国。2010~19年の物価と市場為替レートでの米ドル建て実質GDP加重平均を用いて算出。 黄色い縦線は、各国(18の先進国と22のEMDEs)がパンデミックによる様々な予想外のショックに直面する場合のダウンサイド・シナリオの範囲を、2020年前半の規模の約10分の1から約10分の2から見積もって示す。

2021年から2022年にかけての世界経済成長率は、オミクロン株の感染の急速な拡大が保健システムを崩壊させ、主要国における厳格な行動制限の再発動につながれば、一層の減速となりかねない。オミクロン株により経済が混乱すれば、今年の世界的成長は、根底となる前提次第で、0.2から0.7%ポイントの間で一段と減速する可能性がある。これに伴う混乱の結果、サプライチェーンの問題が悪化しインフレ圧力が高まる可能性もある。

 

5. 天候・気候関連の災害に伴う巨額コストをまかなうには、世界規模の協力と効果的な国家政策が不可欠

 

関連の災害による経済的損失

 

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出所:EM-DAT, CRED/UCLouvain, https://www.emdat.be; 世界銀行;世界気象機関.
注:EMDEs = 新興国・途上国。数値は、天候、気候、水関連の危険からの直接・間接にこうむるすべての損害と経済的損失の合計を示す。危険は、自然、地球物理学、気象、気候学、水理学、生物学的事象に関連したもの。

激烈な自然災害や気候変動関連の事象もまた、EMDEsの回復を阻みかねない。気候変動への対策を進めるパリ協定の目標達成に向けた歩みを加速させ、気候変動による経済、保健、社会面のコストを削減するには、世界規模での協力が求められる。そうしたコストの多くは、脆弱層が過度に負担している。

国際社会はまた、多くのEMDEsにおいて気候変動への適応を大規模に進め、環境にやさしい投資を拡大し、環境に配慮したエネルギーへの移行を促進することでも貢献できる。各国の政策的措置もまた、再生可能エネルギーやそのためのインフラへの投資を促進し、技術開発を加速させるよう調整するとよいだろう。さらに、政策担当者は、将来の気候関連危機への備えを強化することで成長を加速させる改革を優先するとよいだろう。 


関連項目

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世界経済見通し

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投稿者

Lucia Quaglietti

Senior Economist, World Bank Prospects Group

Collette Wheeler

Senior Economist, Prospects Group, World Bank

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