コミットメントから行動へ：IDA21の効果的な実施に向けて

前例のない課題、急速な変化、厳しい財政事情が同時に押し寄せるいま、より大きな成果を出すために開発の取組みを確実に実行することの重要性が、かつてなく高まっています。

低所得国を支援する国際開発協会（IDA）の第21次増資（IDA21）は、ドナーと世界銀行による最大1,000億ドルの支援コミットメントを受け、すべての人のための生活向上に向けて新たに意欲的な歩みを進めようとしています。78カ国がそれぞれの繁栄に向けた道筋を描こうと準備を進める中、世界の最も脆弱な地域社会のために、この意欲的な取組みを具体的な進展へと変える戦術とパートナーシップが注目されています。

将来を見据えたIDA21のアプローチは、過去の成果の継承、革新的なソリューションの推進、強力で包摂的なパートナーシップの構築という3つの柱で構成されています。 IDA21は、この戦略を用いることで、業務効率と即応性を高めるとともに、持続可能で広範囲に及ぶインパクト達成の基盤を築いています。

確かな実績を基盤に

目標達成に向けたIDA21の取組みは、過去の成功が大きな支えとなっています。IDAは一貫して成果に大きな重点を置いてきました。2025年6月30日に終了した2025会計年度（FY）は、IDAが資金を提供したプロジェクトの91%が、開発目標と成果の達成において満足のいく実績を出しました。IDAの支援コミットメント額と実行額は、こうした成果を裏付けています。

2025年度末までのIDA20対象期間に、総額約1,000億ドルの資金支援（取消し額と再コミットメント額を調整済み）を各国に誓約。
2020～24年度の支援コミットメント額は、2015～19年度比で69%増加。
脆弱な状況や紛争の影響を受けるIDA支援対象国への年間平均コミットメント額は3倍に増加。

IDA実行額も同様に、過去5年間に72%増加。

IDAの未払い残高の割合は、過去10年間で最低水準。

世界銀行はIDA21においても、19億人の人々の生活改善というビジョンを掲げ、こうした前向きな傾向を引き続き強化していきます。我々の意欲的な政策パッケージには、人、地球、繁栄に加え、インフラ、デジタル化、雇用、民間投資、脆弱性、ジェンダー平等への投資が含まれています。

IDAは業務支援にあたり、優先事項の変化に対応するために積極的なモニタリングを行い、プロジェクト資金を柔軟に配分することを重視しています。IDA21では、当該国の戦略やニーズとの整合性が高い新たな活動のために、プロジェクトの再編や資金の再配分も検討されています。2024年8月現在、45億ドルが再コミットメントの対象であり、さらなる機会も模索中です。

実践的な実施支援

脆弱な状況や紛争を含め、IDAが現場に展開していることは、実施支援体制とともに、成功のための強力な基盤となっています。現場に配置された職員の存在は、より綿密なモニタリング、支援対象国との継続的な対話、状況に合った支援を可能にします。世界銀行は、支援対象国がプロジェクトの準備期間を12カ月未満に短縮できるよう、職員の確保を強化しています。また、新設のIDAプロジェクト準備グラントファシリティが、質の高いプロポーザルの作成を支援します。

調達もまた、IDAが支援するプロジェクトの実施における重要な要素です。IDA21は、各国の状況への適応を可能にしつつ公共支出の選択、質、価値を重視するカスタマイズされたアプローチを促進する世界銀行の調達フレームワークに従って進められます。同フレームワークは、IDA支援対象国が質、持続可能性、革新的ソリューションをこれまで以上に重視するものであり、特に優れたサプライヤーを引きつけ、イノベーションを解き放ち、現地で雇用を創出し、より良い開発成果をもたらすために役立ちます。 

IDA21はまた、迅速性、規模、質を高めてインパクトを出すより良い組織を目指して進行中の様々な改革からも恩恵を受けています。

IDA21の実施における強力なパートナーシップ

地球規模の課題が複雑さを増す現在、各国、開発パートナー、民間部門、市民社会の間での強力な連携と共同での行動が求められています。パートナーシップがIDAの活動の中心に位置付けられているのはそのためです。IDAは常に揺るぎないパートナーかつ力強い貢献者として、政策、知識、資金調達、ベストプラクティスについて、協調をすく信する重要な仲介者、貢献者としての役割を果たしてきました。IDA21でも引き続きその役割を続けていきます。

IDA21は今、重要な岐路に立っていますが、意欲的な投資、実証済みの戦略、国境やセクターを超えた協力の精神によって支えられています。IDA21はパートナーの献身的取組みと革新的な業務推進力を活用できる、ほかに類をみない立場にあり、最も差し迫った課題に機敏にかつ目的を持って対応し、人々の生活を変革する成果をもたらす独自の立場にあります。